LIVE CORE

1988年9月12日。
初めて生で見た尾崎豊。
東京ドームの前に着くと
リハーサルで “ 卒業 ”、
“ 愛の消えた街 ” が聴こえてきたことを
今もハッキリと覚えている。
新幹線の中で
発売されたばかりの PaTi-PaTi で
尾崎の特集を読んで
ボルテージは最高潮だった。
ライヴを見て数ヶ月後に
一度リリースされた “ LIVE CORE ” は
アルバム “ 街路樹 ” からの選曲のみで
それでも 20代になって最初の尾崎の映像で
擦り切れるまで VHS を見た。
本作は 2013年にリリースされた
その “ LIVE CORE ” の完全版。
Blu-ray なら一枚に収録(DVD は二枚組)。
リハーサルのレアな映像が映しだされ
“ COLD WIND ” でライヴはスタート。
この “ COLD WIND ” 一曲だけで
Blu-ray を買う価値がある。
喉が潰れて
かすれた声でシャウトする尾崎の痛々しさ。
十代のライヴと違って
バンドと一体化することもなく
ひとりぼっちで孤立したステージ。
村上 “ ポンタ ” 秀一、
本多俊之ら一流ミュージシャンのサポートは
これまでの尾崎のライヴとは違う重厚さと
完成されたものを感じる。
“ Scrambling Rock’n’Roll ” では
ステージから飛び降りて
客席の方へ走って行く。
スタッフらに静止されて戻される。
盛り上がるオーディエンスに
笑いながら尾崎が言う。
「おまえらも相変わらずだな」
“ 核 CORE ”、
“ 太陽の破片 ”、
“ 街路樹 ” と三曲立て続けに歌われて
ライヴはフィナーレ。
アンコールで歌う “ シェリー ”、
“ I LOVE YOU ”、
“ 理由 ” で尾崎はステージからおりた。
映像ではそのまま
“ 僕が僕であるために ” を続けて
歌っているように編集されているが
俺の記憶が正しければそれは違う。
会場の明かりもついて
もう尾崎は出てこないと思って
席を立ち、帰る人もいる中、
尾崎はステージに戻ってきて
明るい中で最後に歌ったのが
“ 僕が僕であるために ” だった。
「またどっかで会おうね」
最後にそう言ってから
“ Birth Tour ” で再見するまで
2年以上待たされる訳だが
その “ Birth Tour ” の最後に
「またどっかで会いましょう」と言う尾崎と
本作の尾崎は明らかに違う。
歌われなかった “ 15の夜 ” より
歌ってくれた 26曲に心をえぐられた。
176分、監督は佐藤輝。

Blu-ray Complete Version。